【書道のプロが教える】筆の洗い方と正しい保管方法!長持ちさせるお手入れ完全ガイド

書道筆の洗い方・管理方法で、筆の寿命は大きく変わります
「筆先がすぐに割れてしまう」
「買ったばかりなのに、もう書きにくい…」
そんなお悩みはありませんか?
実は、書道で使う筆は “使ったあとのお手入れ” と “保管のしかた” で、寿命や書きやすさが大きく変わります。
せっかく選んだお気に入りの筆も、洗い方や管理方法を間違えると、短期間でコシがなくなったり、毛が抜けてしまったりします。
この記事では、
- 太筆の正しい洗い方
- 小筆・細筆のお手入れ方法
- やってはいけないNGケア
- 筆を長持ちさせる保管・管理のコツ
を、初心者の方にもわかりやすくまとめましたのでご参考にしてください。
筆を長持ちさせるために「洗い方」と「管理方法」が大切な理由

書道で使う墨には、膠(にかわ)という動物性の成分が含まれており、これが乾くと固まります。
洗わずに放置すると、この膠や墨が筆の根元で固まり、毛が開いたまま戻らない・コシがなくなるといったトラブルの原因になります。
- 乾かし方が悪い → カビ・異臭・毛の傷み
- 保管場所が悪い → 湿気や直射日光で劣化
といったトラブルも起こりやすくなります。
「使ったあと、どう扱うか」= 筆の寿命
といっても過言ではありません。
太筆の正しい洗い方
ここでは、半紙に書くときに使う「太筆(大筆)」のお手入れ手順をご紹介します。
使い終わったら、まず墨を拭き取る
学校やお稽古場ですぐに洗えない場合は、書き損じの半紙などで墨をしっかり拭き取るだけでも大きな差が出ます。
このとき、ゴシゴシこすらず、毛の流れに沿ってやさしく拭き取りましょう。
30〜40℃程度の「ぬるま湯」で洗う
自宅に戻ったら、なるべくその日のうちに洗います。
- 冷たすぎる水…墨が落ちにくく、膠が残りやすい
- 熱すぎるお湯…軸と毛を止めている接着剤が傷み、毛抜けや変形の原因
のため、30〜40℃程度のぬるま湯が理想です。
蛇口の水を直接強く当てるのではなく、少し離れた場所で水を受け、その水の中でやさしく上下に振る・トントンとシンクを軽く叩くイメージで洗うと、毛を傷めずに墨を落とせます。
毛の根元を指でやさしくもみほぐす(穂が折れている時)
墨は見える部分だけではなく、毛の根本・差し込み部分の奥まで入り込んでいます。
この部分の墨が残ると、
- 毛が切れやすくなる
- 筆が割れる
- 異臭やカビ
などの原因になります。
根本を指の腹でつまむようにもみほぐしながら、何度もぬるま湯ですすぐ→しぼるを繰り返しましょう。
「もういいかな?」と思ってから もう一度洗うくらいがちょうど良いです。
水気をやさしく取って、穂先の形を整える
墨がほとんど出てこなくなったら、タオルやキッチンペーパーで毛の流れに沿ってそっと水気をしぼるように拭き取ります。
そのあと、指先で穂先をスッとまとめて、円すい形になるように整えると、次に使うときも書きやすい状態を保てます。
風通しの良い日陰で「穂先を下」にして乾かす
- 直射日光:毛がパサパサになりやすい
- 風が当たらない場所:乾きが悪く、カビや臭いの原因
になるため、風通しの良い日陰で乾かします。
このときのポイントは、
- 筆巻きにしまったまま 乾かさない
- キャップは 絶対にしない(湿気で毛が傷みやすい)
- できれば 吊るす・穂先を下にして干す
といった点です。
小筆の洗い方は「2つのタイプ」で変わります
小筆は、大きく分けて次の2タイプでお手入れ方法が少し異なります。
- 仮名用などの繊細な小筆(なるべく水洗いを控えるタイプ)
- 名前書き用などの実用小筆(水洗いOKタイプ)
お使いの筆の種類に合わせて、お手入れ方法を選んでください。
仮名用・繊細な小筆の洗い方(基本は水洗いしない)
仮名用や高級な小筆は、毛が細く繊細なため、水洗いは最小限・「湿らせた紙で拭き取る」が基本です。
手順
- 使用後、半紙やティッシュを少しだけ湿らせる
- その上で、毛の流れに沿って穂先をスッと滑らせ、墨を拭き取る
- 墨が薄くなってきたら、指で穂先を整え、そのまま自然乾燥
- どうしても根元に墨がたまってしまったときだけ、
ぬるま湯ですすぐ程度にとどめ、長時間水につけない
※繊細な小筆は、「もみ洗い」「強い水流」「長時間の水浸け」を避けることが大切です。
名前書き用など水洗いOKな小筆の洗い方
文具店などで購入できる、名前書き・実用向けの小筆は、ぬるま湯での水洗いを前提にしたお手入れが可能です。
手順
- 使用後、半紙やティッシュで墨をぬぐう
- 毛の流れに沿って、穂先を軽く滑らせる
- コップに30〜40℃程度のぬるま湯を入れ、穂先だけを入れてやさしく揺らす
- 水が濁ったら替えて、2〜3回くり返す
- 蛇口から強い水を直接当てない
- 指の腹で上から下へ軽くしぼる
- 「もみほぐす」ではなく「しぼる」イメージで
- 墨と水を押し出すように数回くり返す
- タオルやティッシュで水気を取り、穂先を一本の線になるように整える
- 風通しの良い日陰で、穂先がどこかに当たらないように注意しながら乾かす
- 完全に乾いてから筆巻きやケースへ
やってはいけない!筆のNG管理方法
せっかくきれいに洗っても、保管方法を間違えると台無しです。よくある間違いをチェックしましょう。
- × 購入時の透明キャップをつけて保管する
- あのキャップは、輸送中の保護用です。洗った後にキャップをすると、湿気がこもってカビが生えたり、毛が腐る原因になります。捨ててしまっても構いません。
- × 直射日光に当てる
- 急激な乾燥は筆を傷めます。必ず日陰干しをしてください。
- × ドライヤーで乾かす
- 熱風は厳禁です。動物の毛で作られているので、熱で縮れたり傷んだりします。
筆が割れてしまう原因は?
「洗っているのに、どうしても筆が割れる」という相談をよく受けます。
主な原因は、根元に残った墨です。
根元に墨が残っていると、乾燥する際に墨が固まって膨張し、毛を広げてしまいます。
もし割れてしまったら、一度ぬるま湯に長くつけて(一晩ほど)、根元の固まった墨をしっかり溶かして洗い直してみてください。
それでも戻らない場合は、筆の寿命かもしれません。
よくある質問(Q&A)
- 筆は毎回洗わないといけませんか?
-
基本的には「使うたびに洗う」のが理想です。
特に、墨汁を使っている場合は乾くとカチカチになりやすいため、その日のうちにぬるま湯で洗っておくと、筆の持ちがまったく違ってきます。
- すでにカチカチに固まってしまった筆は、復活できますか?
-
程度にもよりますが、
- ぬるま湯に穂先だけをしばらく浸けて、膠をゆっくり柔らかくする
- 根元を指でもみほぐしながら、少しずつ墨を出していく
ことで、ある程度まで戻る場合があります。
ただし、完全に元通りにするのは難しい場合もあるため、「大切な筆ほど、使ったあとすぐにお手入れする」ことを習慣にするのがおすすめです。
- 子どもが学校で使った筆も、家で洗ったほうがいいですか?
-
はい。
学校では時間がなくてしっかり洗えないことが多いため、- まずは学校で半紙などでよく墨を拭き取る
- 帰宅後、その日のうちにぬるま湯でしっかり洗う
この2ステップを親御さんがサポートしてあげると、
筆が長持ちするだけでなく、「道具を大切にする習慣」にもつながります。
まとめ:道具への感謝が、良い字を生みます

筆の手入れは、書道の稽古の一部です。
「今日もありがとう」という気持ちを込めて筆を洗う時間は、心を整える大切な時間でもあります。
正しく手入れをすれば、筆は長く良きパートナーとして活躍してくれます。
ぜひ今日から、正しい洗い方を実践してみてくださいね。
裕虹書道教室では、筆のお手入れのご相談も承っています
福岡県大野城市の 裕虹書道教室 では、
- 子ども教室
- 大人教室
- オンライン書道(通常コース・おためし美文字コース)
を通して、道具の選び方や筆のケアの仕方も含めて丁寧にお伝えしています。
「この筆、まだ使えますか?」「子ども用にどんな筆を選べばいいですか?」など、気になることがあれば、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。
\ 無料体験実施中 /

